映画【転々】三日月くんも出てる時効じゃない警察(ネタバレ感想)

投稿者: | 2019年12月28日

転々


(c)2007「転々」フィルムパートナーズ

公開年:2007年
制作国:日本
監督:三木聡
原作:藤田宜永
脚本:三木聡
出演:オダギリジョー、三浦友和
小泉今日子、吉高由里子、岩松了
ふせえり、松重豊、他

STORY
幼い頃に両親に捨てられた孤独な青年・文哉。現在大学8年生の彼は、
いつの間にか84万円もの借金を抱えていた。返済期限が迫ったある日、
彼は借金取りの福原から奇妙な提案を持ちかけられる。
それは、吉祥寺から霞ヶ関まで福原と一緒に散歩するだけで借金がチャラになり、
100万円の報酬までもらえるというものだった……。

(映画.comより)

復活した時効警察、終わってしまいましたね…。寂しすぎる…。
なので、時効警察シリーズの三木聡監督とオダギリジョーさんのペア、
時効警察から岩松さん、ふせさん、そしてなんと
三日月しずか役で麻生久美子さんも出演された映画、転々を観ました。
時効警察は時効後の事件の捜査の話ですが、この話は、
時効どころか事件翌日から始まる話となります!!

結末含めネタバレしています!

ウシジマ君っぽい怖さは最初だけ

オダギリさん演じる主人公の文哉の家に突然、
借金取りである三浦さん演じる福原がやってきて、
男相手に身体を一回いくらで売るか、などと脅されるところがスタート。

福原がまた、三浦さんというよりは竹内力さん的な
後ろ髪が長いチンピラっぽい雰囲気で怖い…。


映画.comより

だが、このウシジマテイストな怖さは最初だけ。
その後はロードムービー的に2人で東京を歩きまくる不思議な話になります。

不条理な展開の数々も、これが日常なんだと思う

2人で歩いている間、いくつか突然目の前で事件が起きます。
例えば、おばさんがチンピラの車とぶつかり
目の前で思い切りチンピラに恫喝されるシーン。

福原の思い出のオーギョーチーを食べに行った中華飯店で
(オーギョーチーって食べた事なかったけど、デザートだったんだ…。
名前的になんかの定食とかだと思ってた)
1人で働く年老いた女性店員から目の前で金をぶんどる息子、
(息子の役が石原良純さんという衝撃。出番数秒)
目の前を通り過ぎていく置き引き犯。

こういったトラブルのどれに対しても、
すぐ手の届く距離にいるのに文哉も福原も見ているだけ。
表情を変えずに。

ちょっと冷たすぎるんじゃないのか?と思ったのですが、
よく考えるとこれって世の中のリアルみたいに感じました。
映画やドラマだと主人公は救いの手を差し伸べたりするけど、
現実に自分の目の前でチンピラが怒鳴っていたら、
やっぱり関わらないようにすると思う。僕は。

のんびりした空間の中で生まれるこうしたいくつかのトラブルに、
そんな現実を考えてしまった次第です。

ミステリー……ではなかった!

福原が妻を殺害してしまい、永田町まで歩いて出頭に行くという話。
殺害理由は、妻が夜な夜な若い男をあさりに街に出ていた事を知ったから。
そして文哉も以前、熟女とワンナイトラブしてしまった経験があった…。

まさか、俺のワンナイトの相手はこの人の奥さんだったのか!?
あえてそんな話をするって事はつまり、この旅は俺への復讐…?

とミステリー感が出てきますが、結論から言うと……関係なかった。

ただ、福原と奥さんの過去の映像や色々な思い出話がたくさん出てきて、
その絆ゆえに「本当は福原は殺人なんて犯してないんじゃないか?」
と視聴者が疑問を抱き始めるような中で、
パート先では無断欠勤が続いているという話であったり、
時折挿入されるベッドの上で寝ている奥さんの遠くからのショット。
実際、どうなんだろう……とひたすら先が気になる、
そんな見事すぎるストーリーの運びです。

僕の当時の推理は、
パート先の会話は実は無関係なキャラの事を言っていて
(そもそも福原の名前が実は福原じゃないミスリード)
その本物の福原の為に何かしたんじゃないか…説。
とか、2つの場面それぞれの時間軸が全然違うので関係ない、とか。

ただ、悲しい事にそういう話ではなかったのです。
推理がいつも通り外れましたが、ラストが悲しいので僕の悲しみも倍増です。

時効警察の面々

特に岩松さんとふせさんのやり取りは時効警察での雑談のレベルまんまな感じ。
一緒にいる松重さんがなかなか会話に入れない流れ、
っていうのが少し切ないが、仕方ないのかもしれない…。
このやり取りとかもほっこりしている感じでなかなかいい感じです。

あとは途中で三日月しずか(麻生久美子)が登場するというまさかのサプライズ。
文哉の顔を見てすごい顔をかしげるだけの数秒の出演ですが、
確かに文哉は霧山さんに似てるからそういう反応するのも分かります!

吉高由里子さんの奔放さがまたいい!!

色々な人との再会を経て、
福原は怪我で動けなくなり、以前結婚式で偽装夫婦を演じた、
その妻役の人のところに世話になる事に。まあ怪我したのは、
「町の時計屋ってどう生計立ててるんだ?」
という色々な人が思っていても口には出せない疑問を
思わず店主に直接聞いた事が原因なんですけど。

その麻紀子(小泉今日子)の家にしばらくお世話になる事になり、
彼女の親戚のふふみ(吉高由里子)も参加して、
終盤はそこで疑似家族のようなものが出来上がります。

このふふみが、吉高さんの実力だと思うんですけど
本当にこの作品をパーっと明るくしてくれます。
風呂で謎の歌を熱唱したり、究極のマヨ好きだったり個性的です。
セルフラッキースケベとか爆笑してしまいました。
(着替えを忘れたのか、半裸状態でウギャアアアアアアとわざと叫びながら
全員の前を走って通過して、その後着替えを持って
またウギャアアアアアアとあえて叫んで脱衣所に戻る自己アピール)
小泉さんのお母さんキャラもあわせて素晴らしい関係性!!

終わりの来る平穏の切なさ…

母の再婚相手の父との距離が縮まらず動物園すら行った事のなく、
オヤジ、と福原を試しに呼んだらしっくりきて何度も呼ぶ文哉、
妻との間にお前みたいな子供がいたら関係も違ったのかも…
と文哉に存在するはずない息子との思い出を生む福原、
広い家に一人で住み続ける麻紀子、
親が留守がちで若くして孤独を抱えているであろうふふみ。
みんな偽りであっても、家族愛を求めていたんだろうな、
といつか終わりが来るはずのほっこりシーンに切なくなります…!

福原はその後、警察に自首しに行き、そこで物語が終わります。
彼は殺人…ではなく文哉曰く傷害致死で裁かれると思うのですが、
最後には自首を止めようとしたほどに福原との絆が生まれた文哉も、
この後いったいどうなるんでしょう……。
序盤から続くいくつかのトラブルも含めて、
映画のような大きなエンターテインメントの裏には、
こういう日常のささいな幸せや、そして孤独、もっと言ってしまえば
必ずいい人が助かる、誰かの助けがある、なんていう事は
結局のところまやかしなんだろうな…と思ってしまうラストでした。

ここまでほっこりさせられた分、そんな当たり前の事に
大きくショックを受けてしまうというのでしょう。
そういった意味では、普遍的なテーマをまっすぐに突き抜けた作品だったと思います。

ヒューマンテイスト、漂う時効警察のようなコメディの空気、キャラクターの魅力。
夕暮れのような寂しさを感じる、不思議な魅力あふれる作品でした!

 

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