映画【I am ICHIHASHI 逮捕されるまで】感想を気軽に書けない重さ(ネタバレ感想)

投稿者: | 2019年5月22日

I am ICHIHASHI 逮捕されるまで


((C)2013「I am ICHIHASHI 逮捕されるまで」製作委員会/映画.comより)

公開年:2013年
制作国:日本
監督:ディーン・フジオカ
企画:中沢敏明
製作:中沢敏明
共同製作:千野毅彦
エグゼクティブプロデューサー:厨子健介、谷澤伸幸
プロデューサー:古賀俊輔、湊谷恭史
原作:市橋達也
出演:ディーン・フジオカ、他
レイティング:PG12+

STORY(解説)
警察の捜査を振り切り、行く先々で名前を変え、整形手術を受け、
自ら犯した罪から逃げ続けた市橋の2年7カ月を映像化し、
その罪の深さや人間という生き物の弱さ、殺人犯の心理などに肉薄していく。
(映画.comより)

去年、ドラマ『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』で
復讐に冷たく燃える男をディーンさんが演じていたのを観て、
そのディーンさんが市橋をどう演じるのか?と気になってはいましたが、
そもそものテーマがテーマなので時間がかかり、先日やっと勇気が出たので観ました。

淡々と進むリアリティ

逃亡→路上生活→仕事を探す→指名手配の情報→逃げる→
といった、どんどんドツボにはまっていくような様子が
ひたすらノンフィクションな雰囲気で進んでいく話です。
勿論、映画ならではの表現も多いので映画っぽいのですが、
こういう道を辿ったんだ、という事が具体的な説明がなくても
映像を観ていれば伝わる感じで進む、そんな全体像です。

追いかけてくるもの ①:ラジオ

あえて聴いているシーンもありますが、
映画の大部分でバックにいきなりラジオが流れます。
被害者遺族の方からのメッセージだったり、
どこで目撃情報があったかなどが淡々と流れてきます。

途中、テレビとか指名手配チラシとかで顔が出てきて
やばい!!となるシーンも多いのですが、
基本的にはこのラジオが現状を伝えており、
背景に溶け込むように流れるので市橋の常に追われている心理状況を
非常に分かりやすく伝えている感じです。

また、途中ですれ違う人々が自分を見ているように感じるなど、
実際に本人がこう感じていたのか分かりませんが、
追い詰められていくような心理描写が続きます。

追いかけてくるもの ② :インタビュー

序盤から何度も、それこそ話をぶった切るかのように
市橋に対してインタビューをするシーンが出てきます。
インタビューというか、もはや詰問です。
序盤は不思議な空間でしたが、自分の泊っているホテルなど
色々なところに現れてくるので、これはなんだ?となります。

インタビューに対しては市橋が犯行や逃げる理由を言い訳するのですが、
終盤このインタビュアーが「市橋本人」だと分かります。
これは多分、「市橋の良心に訴えかける」演出なんでしょう。
結局インタビュアーを市橋が、事件の被害者の方と同じ方法で
殺害してしまうという心理描写です。

痛い描写がいきなり序盤に…

整形手術をして逃げていたのは当時のニュースで知っていましたが、
トイレの中で自分の唇を切り取るシーンが序盤にあり、
ここの凄まじい痛そうな描写が、もしかすると
「こうやってでも俺は逃げてやる」という市橋の決意を表現したかったのでは、
というように感じられました。

終盤も、カミソリで瞼を切るシーンがあるのですが、
ここはもう終盤なので、覚悟がしっかり決まっているのか
割とあっさりとしており、その対比かなと感じました。

ディーンさんだからこそ出来た徹底的な影

『モンテ・クリスト伯』では笑みを浮かべながら復讐する役でしたが、
この逃げる映画では多分劇中1回たりとも笑顔を見せません。


(C)2013「I am ICHIHASHI 逮捕されるまで」製作委員会/映画.comより

それどころか、ずっと暗く澱んだ闇にいるような感じの表情で、
この恐ろしさはディーンさんの技量でこそ出せるものなのかと感じました。
観ている方も、ひたすらずっと暗い状態になってしまいます。

まとめ

実在の事件の犯人の逃亡劇です。
もう、なんか、色々な感情が生まれてくるのですが、
彼はどうして2年半以上も逃げてこれたのだろうか。
その日暮らしのような日々から無人島暮らしなど、
「生きるバイタリティ」がないと出来ない行動ばかりです。

エンタメ作品という括りにはやっぱり出来ないと思うし、
20時台に放送する報道系バラエティの再現ドラマみたいな
どこかバラエティ的に見るにはあまりに生々しすぎる。

とにかく、この作品は「執念」を映像化した感じで、
役者の方々や背景のリアリティさもあって、
中途半端に作った作品ではないというのがすごく伝わりました。

これはあくまで僕の私見なのですが、
洋画の実際の犯罪の映画化というのは、一部は別として
多くがサスペンス作品などとして評価される事が多い一方、
邦画で実際の犯罪を映画化するのは、
リアルに捉えすぎるとその残虐性を非難されがちですし、
(あと、多分邦画で実際の事件の映画化となると、
世間を騒がせた凄惨の事件を作品にしがちというのもあるかもしれない)
逆に脚色などでエンタメ色を強くしすぎたりすると非難されるし、
まあ今作もそうですが比較的犯人の心情に寄る作品になってるので
そういう作品は特に非難される事が多いかと思います。

実際の犯罪の様子を、映画とはいえ観させられるのは
以前観た『凶悪』という映画でもそうですが非常に気分が重くなります。
だから、テーマとしてはすごく難しいと思うんです。

そこにあえて挑戦したディーンさんだからこそ、
撮影中立てない怪我を負ったにも関わらずそこを押し切り、
鬼気迫る、常に地獄にいる感じが切々と伝わるのではないかと。

僕の口から感想を述べるのは控えておきますが、
とにかく、しんどい90分でした。
始まりのシーンとラストシーンが同じ場面で、
永遠に、終わる事のない、巻き戻すことの出来ない時間に
生き続ける、それが贖罪なのかなとか色々考えすぎた日でした。

 

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