【オールド・ボーイ】 伏線が回収されると普通は気持ちいいけど…(ネタバレ感想)

投稿者: | 2019年3月8日

オールド・ボーイ


(画像はFilmarksより転載)

公開年:2003年
制作国:韓国
原題:올드보이/OLDBOY
原作:土屋ガロン、嶺岸信明

監督:パク・チャヌク
脚本:ワン・ジョユン、イム・ジュンヒュン

出演:チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン、キム・ビョンオク他
レイティング:R15+

(シネマトゥデイより)

STORY
ごく平凡な人生を送っていたオ・デス(チェ・ミンシク)はある日突然拉致され、気がつくと小さな監禁部屋にいた。
理由も分からぬまま15年監禁され続け、突如解放される。復讐を誓うデスの元に現れた謎の男(ユ・ジテ)は、
5日間で監禁の理由を解き明かせと命じるが……。
(シネマトゥデイより転載)

グロ表現がきついと評判の「オールドボーイ」を観ました。
僕が苦手な拷問/痛い系が比較的長尺で出てくるので、
(しかも口の中に関係する痛いやつに集中している)
24の拷問でクラクラする僕と同じくらいの耐性の方は本記事は一切読まないのを推奨します。

あと、結末へ至る伏線を中心に後追いしていきます。
結末など他についても触れるネタバレ満載なのでご注意ください。

あと公式っぽい画像が全く見つからなかったので、
例のごとく文字文字文字文字な感じで申し訳ありません。


トピック① 実は開始直後の数シーンがとても重要な伏線に!!!

主人公のオ・デスは序盤、娘の誕生日当日に突然拉致されます。

その後15年の間、古いホステルの一室みたいなところに監禁されたオ・デス。

監禁中、「オ・デスの妻が殺された」というニュアンスのニュースが流れるが、
妻の自宅で殺人が起こったというニュアンスにとどまり、
誰が殺されたのかが名言されない

そして、何故かアルバムだけが盗まれていたとの報道。
(なんでアルバムが持っていかれたのが分かったかは気にしないでいいところかな…)

そして、15年が経過したタイミングで急に謎の女性が監禁場所に入り込んできて
オ・デスに催眠術のようなものをかけて、気が付けば外にいる。

このへんは全部伏線でした。

② なんか重いところをコミカルに

・ジョンヨン?チャンソク?ジョユン、ナソン?
監禁中の早い段階で自身が恨まれている事を確信するオ・デス。
解放後、犯人からの電話を受けたオ・デスは
「お前誰の依頼で電話してきた!」と言った後、
一息で9人もの知人の名前を出すくらい、恨まれている自覚あり。

そのあと、オ・デスは女たらしで有名で、
かつて260人あまりと浮気した事が判明。
そりゃパッと9人思い浮かぶわけだよね…。

・俺の話も聞いてよ!
解放直後、犬を道連れに自殺しようとする男性を発見。
久しぶりに人間に会えたので至近距離で顔を触りまくるオ・デス。
自殺前に俺の話を聞けと男性に自分語りをした後、
「じゃあ次は僕ねっ!」と話そうとする男性を、
自分が話したから満足したんでシカトしてさっさと立ち去るオ・デス。
男性はそのあと飛び降りてしまった。振り向かず立ち去るオ・デス。
重いがなんとなくコミカルでした。

・一部バトルシーンがコミカル

香港映画のような魅力的なアクションシーンもあります。

横スクロールのバトルメインのアクションゲーム、
PCエンジンの『THE功夫』みたいな感じの1対大人数のバトルは、
そういうカメラワークは勿論、オ・デスが倒れたフリして復活したり、視覚的に楽しい。

他にもゲームのチュートリアルっぽく、バトル前に謎の矢印が出てきたりもしました。


③ 暴力描写について(文字だけですが閲覧注意)

全編重々しい雰囲気の本作ですが、
極端な暴力描写はわずかです。
ただし、一回一回がある程度長いです。

・歯をペンチで1本ずつ抜く。
・ハサミで舌を切る。

このような感じです。
当然描写として血が出ます。
ホラー映画みたいにブッシャーーではないので、
逆にドロドロ出たり吐いたりする血がリアルでかなりしんどいです。
ギリギリのところでその瞬間からカメラを離して痛みを伝える手法なので、
特殊メイクとかでなく、本当に痛みを感じさせる役者の演技がしんどいですよ。


④ そろそろ結末までのざっくりした流れを書きます

監禁から解放

立ち寄った寿司屋でタコを喰って倒れ、
店員のミドという若い女性に家に連れ帰ってもらう

謎の男ウジンから、5日間のうちに監禁の謎を解かないと君たち殺すよ、
解けたら俺死ぬよとか言われちゃう

ピンチを経て絆が強くなり、ミドと強烈なラブシーン

オ・デスの一言で死んだ女学生がいた事が分かる

その女学生の弟がウジンで、2人は近親相姦の関係にあり、
瞬間を見ちゃったオ・デスが人に話したのが伝わり、その噂のせいで彼女が死んだ事を思い出す

じゃあ、復讐としてお前も近親相姦ネタで苦しめてやる!
という事で、ミドは実は成長した自分の娘でした

という感じです。

序盤のニュースの部分では恐らくオ・デスの妻が殺されたのですが、
明言されていないため娘が死んだかどうかがずっとボヤけているんですよね。
オ・デスも死んだと思っているのか娘を探すアクション取りませんし。

で、うまい事オ・デスと娘が出会って、更に恋に落ちるってあるの!?
という部分は、実は同じく序盤の催眠術の影響で、会うように指示されていたみたいです。

アルバムのくだりはショッキングでした。
娘の生まれた頃からのアルバムになっていて、オ・デス消失後の学生時代を経て、
今のオ・デスと一緒にいるミドの写真で終わっているアルバムを見せられた時の
オ・デスの果てしない絶望というのが…。
これをミドに見せちゃうよ?と脅されたら逆らえるわけないっすよね…。

⑤ エンディングのあまりの残酷さ

復讐を果たしたウジンは、それでも拭えない絶望のまま自殺。
(舌を切ったオ・デスに免じてミドとの関係は黙っている)

オ・デスは最後に爆弾のスイッチみたいなものを渡され、
ウジンを攻撃しようとして押すのですが、それは実は
ミドの処女喪失時(相手がオ・デス)の行為の録音音源」の再生スイッチでした。
(痛い痛いの連呼からの、でもあなたが好きなので我慢する、とかのセリフとか)
これを聞かされたらもうメンタルはおしまいですよ。

更に音源には続きがあり、最後の催眠術音源が再生されます。
オ・デスには自分もしくはもうひとつの新しい感情が備え付けられ、
70歩を歩くとどちらかの感情が死にます、という内容でした。

ラストは、鬱っぽくなっているオ・デスが雪山のようなところにいます。
ミドが抱きついて、そのまま終わっていくラストなのですが…。

どちらの感情が消えたのか分からないので、

オ・デスが生き残った場合:
情報の届かない人里離れた場所でミドに真相がバレないようにして、
必然的に娘であるミドを女として愛する余生を選んだ。

もう1つの感情が生き残った場合:
指令としてミドを愛し続ける事を義務付けられた。

っていう認識なんでしょうかね。

ただ、ラストはオ・デスが泣きそうになる表情で終わるので、
オ・デスとしての感情が残っちゃったのかな…と推測しました。
重たすぎる!!!

ウジンはオ・デスがボタンを押すか押さないか委ねたんですね…。

⑥ 監督のアート性のある演出の数々

パク・チャヌク監督の作品は最近別のも観たのですが、
アート的な表現がすごく良かったです!

カメラワークもいくつか使い分けているし、
問題となった過去をオ・デスが思い出す瞬間も、
セピア色の過去に現在のオ・デスが存在して、
立体的にそのシーンを描くというやり方が面白かった。
(しかしあまりに若い2人の生々しいエッチシーン序盤が
相当な長尺だったので人と一緒には観れない)

ウジンが愛する姉の自殺を止められない瞬間も、
過去と未来がリンクするような形になり
絶望具合とその後のウジンの死がリンクしていて痛かったです。

⑦ ヒーローじゃない、本当の人間を魅せた

終盤、オ・デスはラスボスのウジンがいるビルに辿り着く。

だけど、ここがこの作品のキモの部分だと思うのですが
自分の愛した男が実の父親である事をミドに伝えると脅迫された事で
オ・デスはウジンを倒す事を諦め、ひざまずき、
土下座し、足にしがみつき、狂ったように校歌を歌い、
這いずり回り、そして自分の言葉が元凶である事を反省して
それを封じる謝罪の意味でお喋りな自分の舌を切り落とします。

ラスボスが豪勢なタワーの広い部屋で、全裸からのゆっくり着替えを行う、
そんな余裕の姿をずっと見せられ、普通の作品ならここでコイツを倒すはずです。

特に、監禁されている間に強くなりどんどんチンピラを倒し、
このタワーの部屋でも非常に強い中ボスキャラクターと
強烈なアクションを繰り広げた末に倒すのです。
(正確にはとどめはウジンがさすけど)
そこまでの大立ち回りをした上で、
守る者のためにラスボスに対しては攻撃は一切しない。

映画やドラマならボスを倒さない場合でも、
例えば説得して涙で解決するとか、まあとにかく最後なんである程度主人公はカッコいいはずですが、
みじめな姿で謝罪をする、それって飾らない本当に追い詰められた姿なんだろうなと痛烈に伝えられた感じです。
主演のチェ・ミンシクの絶望と怒りと痛みの演技に息をのみます。

長くなりましたが、本当に色々なジャンルの痛みが2時間にまとまった傑作です。
観ているだけでどんどん体力を消費していきますが、とにかく凄かった。
もう一回観る…となるだけのメンタルはなかなか持てませんが、
昔のイギリスの文学作品のような、教訓も入った絶望的なラスト、という雰囲気が
とても素晴らしかったです。原作が日本の漫画なのと、ハリウッドリメイクもしているそうなので、
それらも近々目を通してみようかと思います。

だけど、最近記事にした『ザ・ギフト』もそうですが、過去に犯した事がちょっとした過ちでも
大きな悲劇を後々生んでしまう作品っていうのは、
何か自分も謝らないといけない事があるんじゃないか?と観終わった後に10分くらい考え事をしてしまう。
そんなケント・ビターでした。

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